【あとがき】




これにて補足編『最強さん』終わりです。
長々としたお話につきあってくださってありがとうございました。


最終話サブタイトル「(1-1)×∞=0」の意味は最後のこむぎの言葉です。


+1(紀一によって救われた女の子…理子)

-1(紀一によって失恋した女の子…こむぎ)

×∞(それを何度も何度も、数えきれないくらいに繰り返しても)

=0(貴方の気持ちはずっと0のままなのよ)


「貴方は女の子の力になりたいと思ってるけれど、
 貴方が女の子を救う一方、貴方の行為は他の女の子を失恋させる。
 だから貴方がどんなに沢山の女の子を救っても、
 その一方には泣く女の子がいるのだから
 貴方は女の子の助けにはなってはいない。
 貴方が満たされる日が来るなんて永遠に無いんだから。」



という、後味悪い終わりです。

『怨む』ではなく『呪う』というラストです。



…この作品にはものすごく悩みました。

紀一にどう説教させようか。
ずっとずっと、どう説くべきか考えました。

紀一は理子を外に出してしまったけど、私が紀一と同じ立場だったらそっとしておきます。
いいんじゃないかな、理子がずっと「最強さん」してても。没頭してても…って思います。
【箱庭に追慕】を作る活動も「最強さん」するのと大して変わらないので人の事はとやかく言えません。
将来に何一つ役に立たない。『無益』という点では同じです。

だけど「そっとしておく」も、果たして良い事なんでしょうか。

答えは分かりません。
このお話を作ってもわからないままです。



でも、オンラインゲームは「悪」ではないと思います。

会社で疲れた人がゲームに没頭して会社の嫌なことをスッキリ出来たら、それは良い事です。
学校での友達作りが苦手な人がゲームを通じて全国に友達を作れたら、それも良い事です。
同じ年代・同じ価値観の人としか関われない環境の人が新しい刺激に出会えれば、それも良い事です。

ある本には「病気で籠りがちだった人がゲームで友達を沢山作れた」とか、そういう例も書いてありました。
ゲームは日々に喜びとワクワクを与えてくれます。
ゲームは自由でとても良いものです。

…だから今回の「最強さん」をみて怒った方はすみませんでしたm(_ _)m
紀一の意見はゲームを否定してるような気がするんです。

*****

とても不出来な作品で、あまりの長さゆえに直す余裕も見つからず…。
私としてはとても残念な漫画でした。
でも次へ次へ!
本編を頑張っていきたいと思います!

長い長いお話を読んでくださってありがとうございました!
word文章にして22ページ!
もしこれが箱庭だったら22話分の更新になるはずだったんですね~!

追記は設定資料と、こむぎちゃんについてです。


「それって〇〇じゃん!」と思い当たるゲーム名の出てくるゲーマーさん、結構いそうです。




これが一番初めに考えた造形でした。


もうジャラジャラしすぎてわけわかんなくてダサくて笑い方もダサいのが第一インパクト。
随所に何からの影響なのかわかりますね。
この時の中身は理子ではありませんでした。

『こういうウザいキャラの装備を一枚一枚剥いで泣きっ面にさせたら萌えませんかね。』

が、最初に作ろうとした理由です。


横にノル似の「マジュウ」(笑)がいるのは、課金したら召喚できるよっていう…。


愛用武器の名前は「たけのこの里」。
髪の毛は当初、金髪でした。



段々と焦っていったら可愛いんじゃなかろうかと。
この時もまだ中身は別人です。
大きな武器を振り回すのが好きでした。
でも対人戦だから大きくしすぎるとコマ割りに困ります。


で、何回も何回も描いてるうちに服がわけわかんなくなって簡略化。


『ジャラジャラ』の部分が伝わりづらくなりました。



今でも最強さんはダサ設定です。
そして前髪は理子と色違いだったりします。ちょっとだけ似てたりします。



そして、中身を理子にしようと思い…
ちょっとした「ひっかけ」を作ろうと思って理子と同じ外見の子を作る事にしました。



コムギちゃんの初期設定の名前は「イヴ」でした。
「アダムとイヴ」と彼女自身を絡めた例え話をするつもりで、そう名付けました。

初期案のタイトルは
【イヴと白馬の王子様】
でした。
イヴ=理子、白馬の王子様=紀一。
理子は紀一に恋をして、フラれてしまう流れになるはずだったのです。
(今でも紀一に惚れてしまう流れはあり得ると思うんですけどね)




そしてあまり気に入ってないサブキャラ:実珠(みたま)ちゃん。
ボクっ子です。
(左下はモザイクです)


最初は「ジゾ」という名前だけが決まっていました。
周りのプレイヤー代表です。クールなキャラになるはずだったのに。
名前→外見→名前を変える、という流れで完成しました。


【イヴと白馬の王子様】のタイトルの次は【水槽の羊たち】でした。
大体は作中に出てくる例え話によってタイトルが大きく左右されます。



サブキャラもモコモコと作りました。
どっかで見たような子達。

…でも実際はサブが本番で登場するシーンが全くありませんでした。



【箱庭に追慕】の本編を考えた時、「何か足りない…」とずっと思っていました。
理子が引きこもってる間の事が簡単な説明で終わってたからです。

それから1年後に「ゲームの話を作ろう。本編の隙間に埋め込もう。」と考え、
どうしたものかと苦心すること一年半。
なんとかシナリオが形になりました。

しかしこの時期からPCの前にいられる時間が少なくなり、
「アナログで漫画を作ろう」という考えに至り、
アナログはデジタルの30倍くらい時間がかかるのにせこせこと半年で製作。
約177ページの原稿を下書き・ペン入れ・スキャン・色付けをしてやっとお披露目になり、
今日、最終話まで更新出来ました。

はい。
もうアナログはしたくないです。

待っててくださってた常連様方、本当にありがとうございましたm(_ _)m


*********




「こむぎちゃん、変態」って思った人がいっぱいいる中。
そうは思わない人が少なからずいるであろう希望を持っています。

思春期の女の子はいっぱい悩んでいっぱい迷うんです。


…ある所に
「自分はブスでガサツでダメ人間。
 しっかりして頼られてるわけでもなく、かといってムードメーカー的な存在でもない…。
 いてもいなくてもいいような、毒にも薬にもならない存在だ。」
と、悩んでいる女の子がいました。
女の子はパッとしない自分自身が気に入らないのです。

その子の名前を「K」としましょう。
友達はそれなりにいるし、成績もそれなり。
特に大きな揉め事も起こさず、特に大きな悲劇にも出会わず。
Kは、みんなの影に隠れて輪の中にぬくぬくと暮らしていました。

ある日、そんな彼女の輪の中に異質な女の子が現れました。
綺麗でサラサラの髪の毛。身長も丁度良く、スラっとした体型ですごくかわいい。
愛想笑いなのか本当の笑いなのかよくわからないほどの世渡り上手。
輪の中でもちやほやされる係。
「私が男だったらあの子に絶対アタックしてるし!」ってみんなに言われる女の子でした。

彼女は悪口を言いません。
誰かが誰かの悪口を言っても、柳のようにサラっと流してしまいます。
極度に嫌がるわけでもないから、誰かを不快にさせる事も無い。
…でも『良い子』すぎて、Kにはそれが『本心を隠している』ようにも見えました。
お上品でミステリアス。 誰にも愛されて、誰にも憎まれない女の子。

Kは彼女の事がすごく気になりました。
輪の中で暮らす女の子は一緒に行動をします。
一緒にトイレに行ったり、一緒にお昼のパンを買いに行ったり、一緒に下校したり。
「お前らは何なんだ!どんだけ一緒なんだ!」って男の子たちが思っちゃうくらい一緒です。
Kは彼女の事が気になるゆえに、いつも彼女と行動を共にしました。
彼女も『来るもの拒まず去るもの追わず』な子なので、Kの行動を嫌がる事はしませんでした。

Kは彼女と行動を共にするたび、彼女への興味を募らせていきました。
どこまでいっても何をしても彼女はKにとって『優しくて可愛くて完璧な女の子』でした。

彼女が取り乱しちゃったらどうなるんだろう。
彼女が本気で怒りだしたらどんな行動を取るのだろう。
彼女がわがままを言う日なんてあるのだろうか。
彼女は今までどんな人生を送ってきたんだろう。
彼女みたいな可愛い子、男が放っておくわけが無いよな。
彼女は今まで何人くらい彼氏がいたのかな。
彼女は今何を考えてるのだろう。
彼女でもイライラくる時はあるんだろうか。
彼女の嫌いなタイプってどんな奴なんだろう。
彼女は休日に何をしてるんだろう。
彼女は私みたいに恥をかいた事とかあるのかな。
彼女は普段どういう事を考えてるんだろうか。
彼女は今どうしてるだろう。

頭の中は彼女でいっぱいです。
何で、あんなに完璧なんだろう。
あぁ、かわいいなぁ。 あぁ、素敵だなぁ。

Kはそんなことを考えながら毎日毎日…
今日の彼女を考えてみたり、
母親に彼女のことを報告したり、
彼女の名前をこっそり検索してみたりするのです。

彼女のことを考えている間はKの頭の中はお花畑です。
嫌いな自分自身が見えなくて、かわりに、かわいくて優しくて完璧な彼女が頭の中をいっぱいにしてくれるからです。

徐々に一つひとつ知っていく彼女の事。
あまり表に出して嫌悪を示さない彼女の「嫌いな物」を見つけた時、ものすごく興奮しちゃう。
綺麗な彼女が少し汚れて見えたのに、何故か『以前よりも美しい』と思ってしまう。
「あ、わ、私も嫌いだよ!それ!!」と、彼女と一緒に嫌いな物をなじってみせた時。
・・・まるで私が彼女になったみたい。

「私達、似た者同士ね!」って言って笑いあうと、 ほら、 まるで私達、ものすごく似てるみたい。
醜い私も、綺麗でかわいいあなたに近付いたみたい。


そしてKは気付きます。
「これが『恋』なのかもしれない」。
―――…だって、本もテレビもドラマも言ってる! 毎日、その人の事を考えるのは「恋」だって!

それでちょっとだけ大人になったような気持ちになったり、
「同性愛だなんて禁断で特殊だわ!」と中二病にも近い心地になったり、
本当に「恋」なのか確かめたくて彼女の手をそっと握ってみたりするのです。


でもね、

「あなたになりたい」は本当に「恋」なのかしら。

女の子はそうやって日々悩み、葛藤し、人知れず恥をかいて大人になります。

だから、こむぎちゃんの「愛してる」は大人になる為の準備なのかもしれません。
『最強さん』にはそんな女の子の気持ちが隠れていたりします。



そんなわけで以上です~!

ここまで見てくださってありがとうございました!


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